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夏空のモノローグ レビュー

夏空のモノローグ(通常版)夏空のモノローグ(通常版)
(2010/07/29)
PlayStation2

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■メーカー:オトメイト/アイディアファクトリー
■シナリオ:西村悠
■原画:ろく丸
■ジャンル:夏色タイムループAVG
■対応機種:PlayStation2
■評価:89


プレイしたのは去年の秋頃なんですが、
予想以上に良作だったので、レビューを書くことにします。

この物語は、記憶喪失となった『小川葵』を主人公として
科学部の部員達と共に7月29日を繰り返しながらループの謎を探っていく、
女性向けの恋愛アドベンチャーゲームです。

ただし、女性向けといって侮ることなかれ、一般ゲーに近い感覚で
男性にもオススメ出来るぐらいストーリーの主軸がしっかりしています。
本作は恋愛アドベンチャーとなっていますが
ノベルゲームとしても充分楽しめると思います。

繰り返す7月29日の中で、主人公、葵は科学部員達の抱えた様々な問題に直面していきます
その中で明日へ迎えることへの不安や葛藤を描きながら『希望』を見つけだしていく

そんな『夏空のモノローグ』気になった方は詳細レビューへどうぞ
(ネタバレありません)

【ストーリー】

舞台は海にほど近い田舎町、土岐島市。
主人公・小川葵はいつもと同じように過ごしていた。

平凡な風景の中にそびえ立つ、超高層建築物『ツリー』
30年前突如現れ、にわかに全国を騒がせたそれも、
今はただ寂れた観光資源に過ぎない。

そんな中、葵の所属していた科学部は廃部が決定。
面々は連れ立って廃部前日である、7月29日
『ツリー』観測へと赴く。

その日、その時、その瞬間―。
『ツリー』は歌い出し、
―7月29日は、ループを始めた。
                        (OHPより)


【キャラクター】

■小川葵 
この物語の主人公です
一年前『とある事』がキッカケして記憶喪失になります
この記憶喪失になったキッカケが物語の根底に関わってきて
ストーリーを進めていくうちにそれが明らかになってきます
葵はどちらかと言うと内向的で、自分から物事を進めていくタイプではありません
教室の片隅でいつも本を読んでいる、そんな子です。
だけど科学部の中では本来の自分が出せる
文章を読み進めていくと、どれだけ葵がこの科学部を大切にしているかがわかります

各キャラルートでは、悩み、苦しみながらも立ち向かっていく姿勢がとても好感が持てます
また、最終ルートでは葵自身の問題とも向き合う過程が描かれていて
この7月29日のループの中で一番成長したのは彼女ではないかと思います


■木野瀬 一輝
科学部副部長で常識人。
表でのメインの攻略対象キャラです
顔は怖いけど、心は優しい
そして主人公、葵に一番近くて遠いキャラです
彼の思いやりや優しさは本当に、葵を想ってこそだと思います


■沢野井 宗介
科学部の部長、奇人変人。
本作の笑いの殆どを占めてるといっても過言ではないです。

正直この部長さんと、どう恋愛関係に発展していくのか
想像がつかなかったんですが、部長の何としても叶えたい夢
信念が葵を惹きつけたんだろうな、と思います。
部長さんの『天才』という設定
これがただのキャラ付けに終わらず
きちんとシナリオに活かされていてよかったです。


■加賀 陽
あだ名は苗字と名前を合わせて『カガハル』
「愛してます!」「結婚しましょう!」が口癖と言ってもいいほどの彼。
葵に告白しては、時々可哀想になるぐらいスルーされまくってます
本作の賑やかしで、常に明るいムードメーカーです。

科学部の中で一番子どもっぽいかと思いきや、
ストーリーをやり終えると、彼が一番の大人に見えます
明日へ向かうことの強さを持った人でした。


■篠原 涼太
いつも物静かに本を読んでいたり、
部長やカガハルに対しての冷静な毒舌ツッコミが印象的です。

彼のシナリオは本当に『重い』の一言で
この世界に対する理不尽さ、それに対する憤り
そんな中で、最後の最後で僅かな希望があったのは良かったです
幸せになって欲しい人No.1です。


■浅浪 皓
放任主義の科学部顧問
科学部廃部の背景には彼の事情も絡んできます
駄目な大人の代表例みたいな性格ですが、
意外と面倒見も良く、生徒思いで
記憶の失った葵の唯一の恩師です。

彼のルートでは『家族の絆』というのが一番印象に残ったシナリオでした
『今』に留まらず『明日』へ向かうことに選択
そこには哀しみがあるかもしれないけど、希望だってあるかもしれない
決して辛いことだけじゃないのだと、そう気づかさてくれるシナリオでした。


■綿森 楓
この物語のキーキャラクター
掴みどころがなく、言動も印象もどこか謎めいています。
木野瀬が表のメインキャラなら、彼は裏のメインキャラだと思います
葵の前に突如現れては気になるセリフを残して去っていく
プレイ中には何度もモヤモヤさせられました。
彼のルートではこの作品が訴えかける
全てのテーマを集約している、そう思いました。

ちなみに私の一番好きなキャラです

【CG】
まず、この作品を初めてプレイてを目を奪われたのは、背景グラフィックの美しさです
淡い色調ながらも夏らしさが描かれ、特に空の描写が素晴らしいです
突き抜けるような空の青さ、夕景や夜の空に広がる星々一つ取ってみても
夏空のモノローグが持つ世界観をとてもよく表現しています。
液晶ディスプレイを通して見ると画質は勿論、独特な色彩の濃淡や表現が
若干落ちてしまってるのが非常に残念です…

キャラクターデザイン・グラフィックは癖がなく、可愛く、かっこ良いいですし
イベントCGも印象的なものが多く、綺麗に描かれてます
カットインがたまに効果的に入るのですが、その中のSDキャラが可愛くて和みます。

【音楽】
まず、タイトル画面で流れる曲
爽やかな中にも切なさが混じった『夏空』は私の好きな曲の中の一つです
ツリーの発光現象時に流れる『_Akashic Recods』の幻想的な雰囲気も好きですし、
この作品はBGM一つとっても完成度がとても高いです。
音楽が流れる場面の演出もシナリオと相まって、ストーリーを感動的なものに仕上げています。
ところで、この『_Akashic Rcods』というBGMのタイトル
調べてみると『因果律』や『魂の情報が蓄積される概念』と出てきて
クリアしたあとに見返してみると、ニヤリとさせてくれる名前です。

【システム】
7月29日を繰り返す
今作独特のシステムがいくつかあります

まずは『VNRシステム』
夏空は通常、画面全体に文章が表示されるノベルタイプのゲーム
なのですが、普通のノベルゲームと違って、文章が表示される量
ウィンドウ枠がシーンごとに変わり、顔グラフィックが表示されたり、
カットインや立ち絵が表示されたりと画面が常に動きがあって
飽きさせない作りになってるのが面白いです

そして次は『LRCシステム』
これは繰り返す7月29日の中で『ループの謎』に迫ろうと部長さんが
提案した部活動の一貫で正式名称を「Loop Research Conference」
(ループ研究会議)といいます。
それぞれ3つのイベントの中から好きな議題が選べループ現象の
謎について、科学部の部員達と共に迫っていきます
この『LRCシステム』
周回ごとに、議題が増えていき一周目に無かったのが二週目、三週目にあったりと
常に新鮮な気持ちでプレイすることができます。

最後に『ツリーピース』
これは本編と連動していて、一つシナリオをクリアする度に
短編シナリオが追加されていきます
どこがどう連動しているのかが最初じゃ分からないのですが
一人攻略するごとに謎が徐々に明らかになってきて
最後には「なるほど」と思わせるような
そんな仕掛けが隠されています。


通常のAVG・ノベルゲーについているシステムはひと通り揃ってます
操作面に関してはストレスなく快適にプレイできて良かったです
クイックセーブ、クイックロードも便利でしたが
履歴から過去のシーンへと戻れる『巻き戻し機能』はとても重宝しました。

ただ、セーブ数が12個と少ないのが難点です
特にこういうループものは周回ごとに同じ場面でも
セリフや表現が違っているので、細目にセーブ出来ないのは残念でした


【総評】
女性向けでこんないい作品があったのかと驚きました
小難しい表現がない文章は流れるように読め、
また各シーンでの繊細な心情描写に惹きつけられました。
ループの謎が徐々に解明されていく展開は手に汗握りましたし
正直何故いままで気付かなかったのか後悔したぐらいです
まだやってなくて、この設定が気になった方、やって損はないと思います
公式ページにWeb体験版があるのでそれで雰囲気を掴んでもいいかもしれません

また何周もしたくなるゲーム
今度は夏にやりたいと思います


―おまけ―

【オススメ攻略順】
人それぞれだと思いますが、絶対このキャラから始めたい!
というのがなければ、真相に近いルートを最後に回した方が、楽しめると思います
一応私は【篠原→カガハル→先生→部長→木野瀬→綿森】の順でプレイしました。
雑感としては綿森さんを除いて部長さんが一番真相に近いキャラかなと思いました。

あと、攻略する時は必ず”最初から”を選んで進めないと、無駄に周回プレイするハメになります
最初に出てくる数字にもギミックがあり、真相ルートを読むと分かる作りになっています
(勘の良い方は途中で気付くかもしれません)




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