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時函-TimeCapsule- 感想

Ray [rei]/「時函」

■タイトル:時函-TimeCapsule-
■制作:Ray[rei]
■ジャンル:女性主人公 謎解きAVG + 夏休み恋愛SLG
■ツール: NScripter
■区分:R-18
■評価:86

実はプレイしたのは1年前の春ぐらいで、感想も書きかけでそのままだったのですが
FDである”ときたま!”をまだコンプはしていませんが手に入れた事を
機に書きかけだった感想を仕上げました。

なんとはなしに気になりつつ、同人にしては多少高めなお値段と絵で躊躇していた
「時函-TimeCapsule-」
蓋を開けてみればそんなことは気にならないぐらいの良作でした。


【ストーリー】
夏休みのある日。
私は2人の幼なじみとともに、
子供の頃に埋めたタイム・カプセルを掘り出す。
中からは、懐かしい思い出の品々にまじって、
「真神朋来」なる者の持ち物が現れた。
どうやら私達の友人だった人物らしいのだが、
3人が3人とも、彼のことをまったく覚えていない。

真神朋来とは何者なのか。
その謎を調べだした私は、不思議な少年に導かれて、
意外な真実に肉薄していく。

時函(タイム・カプセル)に封じられていたのは、なつかしい、見知らぬ君の影。
二度と戻らない夏。
甘く切ない季節の中で、私達は大人になっていく。

                                     (OHPより引用)

以下、大きなネタバレにには配慮していますが
多少作品内容に言及している部分もありますので未プレイ者はご注意ください。
【シナリオ】
まず起動してからの早々緊迫感のあるプロローグに惹き込まれ
OP、タイトル画面と続き、久々に良作を引き当てた予感がしました。

設定だけみるならば、使い古された設定ではありますが
それを感じさせない、構成と文章力、オリジナル要素。
進めるごとに小出しに明らかになっていく謎に時間を忘れてプレイしてしまいました。
冒頭のプロローグが何を指しているのか、特殊な設定や言葉だけが出てきて
その段階ではさっぱり意味不明ではありますが、解が明らかになった時は
そうか、ここに繋がるのかと舌を巻いてしまいました。
表面だけみると普通の現代ものの乙女ゲーではありますが
そこかしこに詰められた伏線に、この作品の魅力が詰まっています。

子供から大人になっていく過程
親から子への愛
生命の倫理
正直そこら商業作品より深い物語が楽しめました。

「時函」というタイトルそのものがこの作品の全て語ってるのだと
プレイ後にはその意味の深さに暫くは放心していました。

【キャラクター】

■小夜音
この物語の主人公にしてヒロイン
ほんわりおっとり穏やかで、天然ではありますが
頭の回転は早い為、いざという時は感情を押してでも
物事を決断する芯の強い面を持ち合わせています。
最近の若者という設定にしては若干言葉選びが古臭かったりするのが気になりました。
恋愛面に対する鈍さと天然さで周りの攻略対象を無自覚で振り回していますが
そこも乙女ゲー主人公故の性なのでしょうか
好みに別れそうなタイプの主人公です。
プログラミングが組めたりバイオリンの才能があったり
加えて料理上手だったり、当然ながら可愛かったりとくれば最強です。
それは周囲の男どもは放ってはおきませんよね。

■謎の少年(トモ)
プレイ前にもプレイ後にも、一番好きなキャラクターです。
全体に漂う透明感であるとか、儚げな感じだとか、外見に反した言動とか
隠しきれていない小夜に対する一途さであるとか…とにかく総じて好きです。
裏の主人公でもある彼ですが、彼無しではこの物語は生まれていなかった筈です。
物語全体がトモルート、という印象を受けたので、他のキャラプレイ後に攻略すると
大半の謎が解けてしまった後なので若干物足りなさを感じるかもしれません。
他の攻略キャラに行くとものすごい罪悪感に苛まれます。
それはゲームオーバーエンドであるとか、真エンド以外にも言える事で
エンディング迎える度にゴメンよー、と謝ってました。
とはいいつつも、一番好きなエンドは彼の「守り人」ENDです。
切なくはありますが、あれが一番最初出会った時のトモの印象そのままの透明感を持って
そして彼なりの幸福を見出した印象に残る終わり方でした。

後日譚のヘタレっぷりと小夜ちゃんマジ天使状態になっていたのには笑えました。

■雄太
雄太は正直好みの対極に位置していて、それ程好きではない…というか苦手な印象が強いのですが
彼の大らかさや裏表ない性格は幼なじみの中でも必要不可欠な存在だと思います。
ルートとしては家族だったり、その中でも食事がメインに置かれていたりと分かりやすくはありますが
それよりも脳と下半身が直結した考え方が気になってそれはちょっとと思う場面が多々ありました。
もう少し頭働かせて本能任せではなく理性で考えてよと…
小夜はよく雄太に付き合えるなと生暖かい目で見守ってました。

■ヒコ
ドS。
ヒコに関してまず思い浮かぶ言葉がドS、それぐらいに容赦無いサディステックさです。
一歩間違えればDVにもなりかねません。
彼の歪みには幼いころのトラウマが幾多にも重なり関係している所が悲しくもありますね。
プライドが高く、中々本心では語らない彼ではありますが、そこもヒコの魅力だと思います。
能にメインが据えられてる為、ヒコのルートは本人の存在も相まって
全体的に美しい印象を受けました。
しかしそこはヒコ、美しいながらも一歩間違うと
暗黒面に落とされる選択肢がそこかしこに散らばっています。
暗黒面に落ちたヒコは完全にどこかの陵辱系エロゲの主人公です
監禁エンドで身震いし、心変わりルートのヒコは心情を考えるとやり切れなくは思いますが
そこに駆けつけてくれたトモ君は格好良かったです。

能の天女に準えた彼の正規ルートは文章一つとっても言葉運びが
綺麗で好きエンディングの一つでもあります。

【絵】
少女漫画を彷彿とさせる絵柄で塗りと合わせて、若干アクが強い印象がりますが
細部まで描かれたCGは丁寧で、とても綺麗です。
また、この作品総CGスチル枚数が200枚前後と言うことで気合の入れ方が半端ないです。
前述した通り、塗り、絵柄共に癖が強いので好みが分かれるかもしれません。
制作期間が長期に渡ったからか、多少絵によってはバラつきが出てるのが気になりました。

立ち絵も目パチがあったり、細かい表情変化があったりと
細部まで手が加えられていて進めていて飽きません。
おまけ機能ではキャラクターの立ち絵も鑑賞できる機能が地味に嬉しかったです。

【システム】
ジャンルに謎解きADV+夏休みSLGとある通り
物語の進行は一日の終わりに翌日のスケジュールを決めていき
翌日はその予定に沿った行動をしていきます。

このスケジュール管理ではありますが、自由度が高く
選択によって幅広い展開を望めるのが魅力ではありますが
周回になってくると若干手間になってくるのが難点でした。
他システム面も非常に凝っていて、例えば過去に選択した行動が振り返れるスケジュール帳であるとか
入手アイテムによって各種パラメーターを有利にできる機能だとか
NScripterでここまで出来る事に驚きました。
逆にもう一点、難点を上げるのであれば、セーブが一日の終わりか決められたポイントでしか出来なく
それ以外はQセーブ、Qロードが二箇所のみなのでそこが少々不便でもありました。
しかし、それを補うようにおまけ要素がこれでもかってぐらいに
充実しておりその中でシナリオ回想モードがかなり細分化されて
好きなシーンがいつでも振り返れるので結果的にはそんなには気になりませんでした。
また、パッチを当てる事により探索モードのスキップや
決められた章まで内容をスキップしてくれる機能もあり
ユーザーに対する心配りが細部に渡って散らばっていてプレイする側にとっては嬉しかったです。

【音楽】
一部音楽を除き、素材を使用とのことですが
どれも場面に合って印象に残るBGMも多いです。

特にトモ専用と思われるBGMは透明感と切なさがあって好きです。
他にも主題歌のアレンジ曲やタイトル画面で流れる曲など魅力的なBGMが多く
常々音楽鑑賞モードがないのが悔やまれます。

【総合】
購入を躊躇していた事を後悔するぐらい、面白く
また制作者の意気込みを感じさせる作品でした。
前述した通り、価格設定が同人にしては高めではありますが
それもその筈、シナリオ・絵・システムともに文句のつけようがないぐらい充実した内容で
OPムービーを制作された方や主題歌を作曲された方はプロでも活躍している人たちです。
制作期間は5年との事でしたが、同人という舞台でそれを完成させたのは凄く敬意を払いたいです。
FD含め、まだお楽しみ要素は残っているので、それはゆっくりと消化していきたいと思います。

【雑記】
前回の記事でセーブデータが吹っ飛んだとか書きましたが
当然ゲーム側のバグではなく、恐らくこちらが誤ってセーブデータを削除してしまったからです。
そう、あれはいつものこと…トモ君のBGMを作業中に流そうと時函を起動した時のことです
起動直後に、何の原因だったか忘れましたけど、突然エラーメッセージが出てゲームが起動できなく
びっくりして慌てて終了させて、とりあえず対策としてインストールされているフォルダの
セーブデータを削除して、バックアップ済のデータを入れ直そうと思ったわけです
そして別の場所にバックアップを取っていたセーブデータを移動させようと確認してみると
そこには正確にバックアップされてなかったデータが…
そして元のセーブデータは完全に削除してしまっていた後でした
…と、書いたところで、何せ記憶が大分前だから曖昧で起動直後に何かのエラーが出て
終了後いつの間にかセーブデータのフォルダが消えていた気もするし…
あの直後はデータが消えたことによるショックで記憶が曖昧でして…時間も経ってるし
もしあったとしてもNorton先生によるウィルス誤検知か、セーブデータ関連なら
公式サポートページに載ってる範囲内のエラーだったかもしれません。
教訓としては、ちゃんとバックアップ取っておこうという事でした。

再プレイで基本は強制スキップかけつつも読み込んでいくと
初回では分からなかったキャラの心情が読み取れたり
気づかない所に伏線があったりと面白いです。
そんなこんなで、ここ最近はトモ君熱が最熱してます。

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