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死神と少女 レビュー


死神と少女 


■メーカー:拓洋興業/TAKUYO
■企画・シナリオ:藤元
■原画:すみ兵
■BGM:森本 昌司
■ジャンル:幻想物語アドベンチャー
■対応機種:PlayStationPortable CERO:B
■評価:89点

発売前から世界観が面白そうで、気になっていたゲームです。
前知識など、ほぼない状態で進めましたが一章終わるごとに作品に魅せられていき
クリア後はこんなにも完成度が高い作品だったことに驚かされました
一部反転してありますが、ネタバレはないので、気になる方はどうぞ↓

【ストーリー】

陽が沈み、夜が来るまでの一瞬の空の色。
それは、深く、深く。
蒼色の空。
その下で佇む死神の姿があった。

『―孤独な死神と少女が出逢い、世界で一番美しい言葉を探していく幻想物語』

【シナリオ】
攻略対象キャラは
蒼、十夜、日生、桐島の4人。
+隠しキャラに千代さんが居ます)ネタバレの為反転。
物語はオムニバス形式で1章ごとに話が完結しながら進んでいき
各章から個別へと分岐していきます。
書き手と読み手を意識させる展開や
各章のストーリーと絵本をリンクさせる作りが面白く
次第に物語へ惹きこまれていきました。
読後感は一冊の本を読み終えた感じに似ています。
絵本の内容では、ネタバレになるので詳しくは書きませんが
第五章のものが一番気に入ってます。
おまけの鑑賞シーンで見ると
本編とは違い完全版が観るれるので
また違った印象を受けて、それも面白いです。
個別でのシナリオですが、どれも各章の共通とリンクしており
先に共通部分をやってしまうと、個別に入った時の印象や衝撃を
失ってしまう可能性が若干あります。
どうしてもこのキャラから先にやりたい、と言うのがないのなら
時系列順で進めるのが作品全体での物語がまとまって観れ
次第に明かされていく謎がとても面白く感じられると思います。

個別で印象深かったシナリオは、十夜で
好きなシナリオは桐島先輩でした。
  
【絵】
原画はラノベなどで活躍しているすみ兵さん
キャラクターグラフィックは立ち絵、塗りともにどれも高水準です。
老若男女、キャラクターの特徴を捉えており、
可愛らしく、格好良く描かれ自分好みの絵柄でした。
イベントCGは、どのシーン、構図を取ってみても魅せられるものが多いです。
紗夜が映るたび、惚れ惚れしてました。
若干サイズが大きめに作ってあるようで、アナログパッドで
上下に動かして、見えない部分を確認することができると、
ゲームクリア後に気付きました。
また、ストーリー中挿入される絵本はどれも画風は違うけれども
作品の雰囲気が出ており物語にのめり込める一因にもなりました
第一章『籠の鳥』の水彩画タッチの絵と
『死神と少女』の影絵調の挿絵は気に入っています。
背景は作中によく出てくる”蒼色”の表現を
とても忠実に表した夕景の描写がとても綺麗で印象的でした
特にコスモス畑は綺麗で好きな背景の一つです。

【音楽】
ゆったりとした曲調が多い印象で、
どの曲も、この作品の持つ独特な雰囲気をよく表していると思います
プレイ後は是非サントラを聞きながら余韻に浸りたい気分になりますが
店舗特典の為、入手が若干困難な事がイタイ所です。
今後発売されることを期待したいですが、特典としてつけた以上望み薄でしょう。

主題歌も印象的で、綺麗な歌声と曲調が耳に残ります
OP/ED曲とも気に入っています。

【演出】
立ち絵表示の細かさや、背景などの光が差し込む描写
また、図書館や空き教室、臥待堂などの閉鎖的な空間での
光の粒子(多分ホコリかと)の表現はとても綺麗で
細かな所にも気を配ってるという印象を受けます。
一部ルート終盤での音楽の流れるタイミングやエンディングに入る演出は
物語を否が応でも盛り上げてくれて、非常に印象深いものとなりました。

【システム】
快適です。
既読/未読スキップあり、バックログ画面からのシーン巻き戻し
クイックセーブ・ロード完備など、ストレスなくプレイすることが出来ます。
次の選択肢まで進む機能は
選択肢が多いゲームなので周回プレイではとても重宝しました。
ただ、ゲームデータをインストールしてしまうと
選択肢の表示で音が途切れてしまうので、注意が必要です。
セーブ箇所も多く、ロックや消去も出来るので、セーブ箇所に困るなど
ということはありません。

このゲーム特有なのが『言の葉』システム
ゲームを進めていくうちに入手する『言の葉』は
章冒頭に入力することによってストーリーに変化を与え
作品により深い解釈を与えてくれます。
好感度などは章選択時にはリセットされる為、特定キャラの
シーンを観たい場合、若干手間が掛かることが難点ではありますが
今まで観てきたシーンでも、文章や場面が追加されることによって
まったく別の印象を受けるのが面白いです。
また特定の言葉を入れることによって、章の途中から進めても
攻略キャラのシナリオを読むことが出来ます。

タイトル画面にギミックがあり、とあるキャラを攻略するとそれが分かります
こういう細かい部分の演出も嬉しかったりしました。

【総評】
とてもよく練りこまれた作品で、ノベルゲームとしては
割と高水準を保っているのはないでしょうか。
乙女ゲーではストーリー重視の作品は少ないので、
重厚な世界観をみせてくれたこの物語はとても貴重なもののように思います。
一応ジャンルとしては乙女ゲーという括りの恋愛アドベンチャーなのですが
その形に囚われずメッセージ性を多く含んだ作品で、とても考えさせられる作品でした。
少々癖の強いので、万人受けはしないでしょうが好きになる人は
とことん好きになる、そんな作品ではないでしょうか。
幻想的な物語が好き、文章を読むのが苦にならない、という方にはオススメです。



さて、私はこの感想の中で『印象』という言葉を何度使ったことでしょうか
もっと上手く別の表現が出来たら
更にこの作品の面白さを伝えることが出来るのに、と思います。
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